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日商 事業承継税制の特例措置の恒久化を要望

2025/09/29

 日本商工会議所はこのほど、「令和8年度税制改正に関する意見」を取りまとめて公表した。

 意見書では、「わが国が、30年にもおよぶ停滞期を脱し、経済の好循環を実現する好機を迎えている一方、米国関税をはじめ世界経済の不確実性が強まるなか、最低賃金の大幅な引上げや円安によるコスト上昇、人手不足など、中小企業は厳しい状況に直面している」と指摘。

 また、諸外国が企業の国内投資を後押しする大胆な減税措置を講じるなか、「わが国の国際競争力を高め、政府が目指す「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現するためには、大胆な投資促進政策が極めて重要で、とりわけ、中小企業の成長投資への後押しが不可欠であり、中小企業の潜在成長率の底上げを図るとともに、原資を確保して、構造的・持続的な賃上げに取り組むことができるよう、中小企業の「稼ぐ力」の強化を税制面から強力に後押しすべきである」と主張している。

 具体的には、まず、円滑な事業承継に資する税制として、事業承継税制一般措置の拡充(2026年4月以降、対象株式の拡大(最大3分の2まで→全株式)、納税猶予割合の拡大(相続の場合80%→100%)、雇用確保要件の弾力化等)などを求め、実質的に事業承継税制の特例措置の恒久化を要望した。

 また、事業承継税制における事務負担の軽減や猶予取消しリスクの解消に向けた見直し(5年経過後の報告不要化、年次報告の事前通知とその公表、一定期間経過時点での納税免除制度の導入等)を要望した。

 次に、中小・中堅企業の「稼ぐ力」の強化に向けた税制では、研究開発税制・中小企業技術基盤強化税制の延長・拡充(繰越控除措置の復活、控除率等の引上げ、「中堅企業向け研究開発税制」の創設等)、大胆な設備投資促進税制の創設、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の拡充(対象となる知的財産や所得範囲の拡充、中小企業は簡便な計算式で可能とする措置の導入)、研究開発に使用する設備に対する固定資産税の減免措置の創設、少額減価償却資産の損金算入特例の拡充・本則化、「IT導入枠」(仮称)の創設などを求めた。

 そのほか、わが国のビジネス環境整備等に資する税制では、消費税インボイス制度に係る負担軽減措置の延長(免税事業者等からの仕入に係る負担軽減措置、免税事業者が課税転換した際の納税額に係る負担軽減措置)、外国人旅行者向け消費税免税制度の維持、「スマート青色申告制度」(仮称)の創設(デジタルツールでの記帳・帳簿作成とe-Taxでの申告を要件とし、青色申告特別控除よりも控除額の高い「スマート青色申告特別控除」(仮称)の創設等)などを要望している。

 日本商工会議所の「令和8年度税制改正に関する意見」はこちら

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